新米講師の私がレッスンを担当するようになって2,3ヶ月。不思議な現象が起きてきた。
私の発音は相変わらずなのに、何度かレッスンを受け持った生徒さんの上達がみるみる伸びたのだ。
たった12回のレッスンで、生徒さんの発音の流暢さが私の上を行く人が何人もでてきた。
もちろん皆、最初の発音レベルは普通のカタカナ英語でした。
しかも、真似が苦手な人や、音感はイマイチという人まで上達してきたのだ。
なぜだろう?当時の私のレッスンは、「はい私の音を聞いて真似して」といった自分の発音を見本にするようなレッスンは不可能だった。
だから、「こうしてみて。ああしてみて。」と生徒さんの口の中を覗き込みながらの試行錯誤のレッスンだった。
それがよかったのだろうか?今でも実際のところよくわからない。
一番驚きそして笑ったのは社長様。なぜゆえに、発音の下手な私から習った生徒の方が上達して、そして再受講に至るのか?
私は、ただただ嬉しかった。生徒さんが上達して、感謝してくれて、英語が好きになってくれて、表情が豊かになって、これ程嬉しいことはなかった。
また、私の発音も生徒さんに教えることで、新たに学ぶところが多く、少しずつではあるが良くなっていったのだった。
少しずつましな発音に進歩していた私の発音ではあるが、相変わらずカメの歩み。
ある日、隣りで教えている日本人講師が、どうしてあんなに英語がきれいなのか考えてみた。
彼女のレッスンを見学してみると、ビデオに合わせて発声させ、口の形を注意するぐらいのありきたりのレッスン。
勘がよく、音感のよい生徒さんは、教えている彼女と同じようにすぐ上達する。が中には、私と同じように、苦労している生徒さんも彼女のクラスの中には大勢いた。
そこで、彼女の経歴を聞いてみた。なんと以前はミュージカルで活躍していた人でした。
歌も得意、発声も得意な彼女。
日本語自体がお腹に響くような低い声。
なるほど、同じ口の形を作っていても「音」そのものが違うはず。
声の出し方が私とは全く違うのだ。
じゃあどうすればいいの?腹式呼吸かしら?本を読みあさり、試行錯誤がはじまる。
こうして、落ちこぼれ先生の発音習得研究がはじまったのでした。