(14)たった1分の仮眠を繰り返し、ようやく出産
2陣痛が少しでもおさまると、そのわずかな時間に仮眠を取った。
たった1分でも、意外なほど熟睡できるものだ。
そんなふうにして陣痛に耐え、入院して2日目、ようやく娘が生まれた。
体重3,100g。元気な女の子だった。
出産から1週間後、退院の日を迎えた。
入院中の1週間は、ベッドの上でテキスト作りに専念できた。退院の日には、福島と福岡から祖父母も上京してきて、一緒に自宅へ帰ることになった。
ところが、タクシーで帰宅する途中、私は職場が気になって仕方がなくなった。
1週間も出社していない。気になることがたくさんある。
結局、私は途中でタクシーを降り、そのまま職場へ向かった。
生まれたばかりの娘は、祖父母と一緒に自宅へ直行。私は仕事を片づけてから帰ることにした。
それから30分ほどして、祖母から電話がかかってきた。
「泣き止まないんだけど、ミルクはどうやって作るの?」
「えー、わからない……。お母さん、知らないの?」
母は子供を育ててきたのだから、当然わかるだろうと思っていた私が甘かった。30年も前のことなのだから、覚えていなくても不思議ではない。
どうやら自宅では、大騒ぎしながらミルクを作っていたらしい。
そんなことも知らず、私は2〜3時間ほど仕事をしてから自宅に戻った。
退院翌日からも、娘を祖母に預けて少しずつ職場へ通った。そして1週間後、祖母も仕事があるため、福岡へ帰ってしまった。