我が子が英語スピーチコンテスト全国大会への挑戦を決意したのは、予選の4か月前、決勝の6か月前でした。
今回の挑戦を通して「発音の上達のみならず、英語力全体が向上した」と、我が子の成長を実感しています。
以下、半年間をかけての我が子の成長の様子について、私なりの感想を思いつくままに書き記したいと思います。
——–
スピーチとは「心からの思いを言葉に乗せて、観客の心に届けること」だと思います。
こうやって書いてみると当たり前のことではありますが、今回の経験を通じて、私達親子はそれを切に実感しました。
スピーチコンテストへの挑戦にあたって、私達親子は「きれいな発音」を目指すことに意識を向けていました。
英語コンテスト出場者は同じ考えをお持ちの方も多いのではないでしょうか。
でも、先生にコンテストへの挑戦を伝えてから、先生が授業で最も時間をかけたのは、
「心からみんなに伝えたいことは何か」を徹底的に自分の心に問いかけていくことでした。
指導前に本人が作ったスピーチ文は、まるで「夏休みの宿題で渋々書かされた読書感想文」のような出来栄えでした。
言葉では一応整っていても、そこに込められた本人の思いが私たちの心に響いてこない。
先生は、いったん全てリセットして、我が子と一緒にイメージマップを作るところから開始しました。
小学生の我が子にとって、深く自分の心に向き合い、心から伝えたいことを形にすることは初めての体験でした。
それは本人にとって、苦しみを伴う非常に難しいことでした。
しかもちょうど反抗期。他人からの提言や問いかけに対し、否定から入る年頃です。
そんな我が子に対しても、先生が粘り強く向き合い、本心を拾い上げてくださったおかげで、本人の心の中にあった「心から伝えたいこと」をついに形にすることができました。
スピーチ内容がようやく固まった授業後の帰り道、
我が子が
「ああ、気持ちよかった~」
と笑顔で報告してくれたことが、特に私の中で印象に残っています。
アウトプットとはこういうことなのだ、と思いました。
何度も何度も書いたイメージマップは、私たち親子の宝物です。
アウトプットの大きな壁を一つ乗り越えた我が子は、第一稿をあっという間に書き上げました。
その後は、時間制限などの限られた条件下で相手の心に効果的にメッセージを届けるための「言葉選び」「文章の改善」を、先生は何度も繰り返しご指導くださいました。
小学生の我が子の語彙力は、やはり年齢相応のものであり、文章力も未熟です。
宿題として毎週持ち帰る文章の書き直しは本人にとって苦しいものでしたが、帰宅後はすぐに宿題にとりかかっていました。
苦しみと同時に、授業を受ける度に新しい言葉や表現が身についていくことへの快感も得ていたのでしょう。
英英辞典で単語の意味合いや発音記号を本人なりに確認しながら文章を書き直していくことを通じて、確実に語彙力が広がったと思います。
推敲は7回にも及びました。
ようやく発音練習に専念できる段階になった時に私が驚いたのは、
「スピーチ文に発音記号を振ってくる」という宿題を、本人は辞書を改めて使うこともなく、いともあっさりと終わらせたことです。
先生は、文章を何回も直す授業の際に並行して一つ一つの単語についての発音を指導してくださっていたんだと、その時知りました。
どうやって発音したらよいのかは、すでに頭に入っていたのです。
あとは口で再現できるように練習すればよいだけ…でも、肝心の口のほうは「発音の完成までにどれだけ時間がかかるだろう?」と不安になる状態からのスタートでした。
でも、ここから再び驚く事態が起きました。
発音練習初回、授業終了のお迎えで教室に入った時です。
「ここの“ねずみ”の下唇ができてないよ」
「ここの“スマイル”をもっと揃えて」
「ここはもうちょっと“ラッパ”を作って」
「ここはもっと、たくさん息を出して」
「ここの舌は“ダウン”のままだったでしょ」
ところどころ音読を中断し、ハミングならではの表現でご指導くださる様子が聞こえます。
本人が、
指導を受けた箇所の口の形や息の通り方等を整えて再度発音します。
それは、素人の私にもわかるくらい、
綺麗な発音に変わっていくのです。
つい立て後ろのベンチで待機をしている間、私の腕は鳥肌が立ちっぱなしでした。
日頃の授業が、実践の場でこのようにハッキリと活かされるものなのだと、感動を覚えました。
予選を通過し、いよいよ決勝間近になってからは、
「伝えたいことが、より相手の心に届くように」と、発音のみならず表現力も磨いていく
指導になっていきました。
先生のご指導どおりに改善することは徐々に容易ではなくなり、自宅でも練習の時間が増えていきました。
自宅の練習では、ビデオカメラに頼りっぱなしでした。
その時期に及ぶと、素人の私の耳では細かな発音の違いなどは聞き分けられず、私からは改善点の指摘が出来なくなっていました。
もはや本人が自分で自分を向上させていくしかありません。
そこで、先生に許可を得て授業の様子を録画させていただきました。
録画を見返して、リハーサル中に先生から改善点の指摘が集中している箇所を確認する。
自宅練習も録画して、指摘された自分の発音や表現が改善できているのかを確認する。
そんな作業を繰り返し行いました。
自分の録画を見ては真摯に改善に努める我が子の様子を見て、
発音の練習を通じてリスニング力も向上していくものなのだと、つくづく実感しました。
コンテスト本番では、本人としてはやはり緊張もあったと思うのですが、意外にも度胸が据わっていたのか、練習の時に近いパフォーマンスが出来ました。
本人のスピーチの中で最も本音をさらけだしている部分で観客がクスッと笑う反応がおきた時、「我が子の思いが観客の心に届いた」という手ごたえを感じました。
最終的にはコンテストで最優秀賞をいただく幸運に恵まれましたが、
何よりも本人が「自分なりにやれるだけのことはやった」という達成感を得られた
ことこそが、大きな成果でした。
親としても、成績発表の前に「本人の成長」と「観客の反応」で、すでに満足していました。
コンテストを終え、先生に賞の報告をすることが出来たことを嬉しく思います。
賞を取れたことのみならず、今回の経験と先生のご指導を通して、英語力全般に本人の成長を見られたことが、何よりも大きな収穫となりました。
先生には感謝の思いでいっぱいです。改めまして、先生に心より御礼申し上げます。
——-
以上になります。
ハミングでの学習は発音のみならず英語力全般の向上につながっていること、
ハミングのご指導はみなさまの今後のチャレンジの心強いバックアップになるということを、
この文章をお読みくださった方々に、少しでもお伝えできましたら幸いです。