(22)私は家庭的・・・にはなれず

わが娘の父「クマ」さんに出会った時も、クマさんの目には私は家庭的な女性にうつったようだ。
しかし、3週間で化けの皮がはげた。結婚当初は何でもできる振りをして、夕食の準備をした。もちろん料理の本を片手に。

2時間かけて必死に繕った。ある日、大根サラダを作ろうと、上機嫌に軽快な音をたてながら大根切っていた。
ところが、「あっ痛いっ!」なんと左手の小指を切ってしまった。

血がボトボト落ちてきた。

激痛が走る。

指の肉は見えている状態。

手料理なんて言っている場合ではなくなった。

1月の夜22時をすぎ、雪が降る中救急病院へと連れられた。

そしてそのまま手術室へ。2針縫った。

「大根を切るくらいで、どうしてこんなに深く切れるの?」と医者に驚かれた。

そしてその日から、私は母親の真似をして、背伸びをすることをやめた。

こんなこともあった。

ある日、必死に掃除をしたその日の夜、台所で排水溝の入れ物がなくなっていることに気が付いた。

ゴミと一緒に捨ててしまったらしい。

かなりの大きさの物なのに。「どうしてそんなもの間違って捨てるの?」と「クマ」さんも驚いていた。

しばらくして、今度は娘の抱っこひもを捨ててしまっていた。

そうやって次から次へ物が消えていった。

それ以来、たまに掃除をすると「物を捨てただけだろう」「押し入れに押し込んだのか?」と言われる。

大きなゴミが出たときは、ゴミ袋の中をこっそり確認する「クマ」さんの姿があった。

改めてやっぱり両親のような古風な家庭は無理だなと諦めたのだった。

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